実務ノート 002

給与コンプライアンス

2026年タイの給与計算:PND.1、社会保険、月次締め

監査に耐える給与処理は明細書だけでは完成しません。人事異動、源泉税、社会保険、銀行振込、総勘定元帳が毎月同じ承認データにつながる必要があります。

公開日
作成
Thailand Accounting 編集部
公的情報確認日

約10分

要点

毎月、人事変更を締め、総支給から手取りを計算し、PND.1と社会保険33条を別々に確認します。支払ファイルを承認し、銀行・元帳と照合して申告・納付証憑を保管します。2026年の33条の上限賃金は月17,500バーツ、通常5%なら従業員・雇用主の負担上限は各875バーツです。ただし給与月ごとに地域特例や最新告示を確認してください。

給与管理ファイルで説明できること

  • 01入退社、昇給、手当、賞与、控除が承認済みである。
  • 02税、社会保険、手取額が同一の承認データから計算されている。
  • 03申告・納付額が給与台帳、銀行、元帳と一致している。
  • 04保存資料から月次・年次累計を再現できる。

統制マップ

4つの記録を同時に管理する

給与台帳は出発点ですが、コンプライアンス資料の全部ではありません。税務、社会保険、支払、会計は連動しつつ個別の確認が必要です。

記録確認する内容統制ポイント
給与台帳従業員別の総支給、福利厚生、控除、雇用主負担、手取額。計算前に承認済み変更を確定し、給与・社会保険業務に承認証跡を残します。
PND.1給与および関連するSection 40(1)・(2)所得の源泉税月次申告。課税給与と源泉税を台帳に照合し、他の支払分類はタイ源泉税ガイドで確認します。
社会保険33条従業員・雇用主拠出と被保険者の入退社変更。古いテンプレートではなく、その月に有効な料率と賃金上限を使います。
支払・元帳手取給与、債務、雇用主コスト、申告額の納付証憑。承認給与を月次記帳へ計上し、各債務を納付証憑で消し込みます。

月次の順序

給与締めの4段階

給与日前に順序を決め、各段階に担当者、締切、次の確認者が追える証憑を設定します。

  1. 01

    入力確定

    入退社、勤怠、給与変更、賞与、福利厚生、経費、銀行情報を承認資料と確認します。

  2. 02

    計算

    一つの管理された従業員マスターから総支給・手取、源泉税、社会保険、雇用主コストを算出します。

  3. 03

    確認・支払

    変動と例外を確認し、台帳を承認し、銀行ファイルを保護して振込額を手取給与に合わせます。

  4. 04

    申告・照合

    申告・納付、元帳計上を行い、受付証を承認済み月次ファイルに保存します。

01

申告日と給与日から逆算する

PND.1と社会保険には別々の期限とシステムがあります。これらは外部の最終日で、社内資料の締切ではありません。タイ税務カレンダーで当月日付を確認し、人事変更、上長承認、銀行実行を前倒しします。

給与を月次税務申告フローにつなぎながら、担当範囲は明確にします。申告日に未承認賞与、誤った在籍状態、未確認の口座変更を税務担当者が直すことはできません。

  • HR変更締切と承認者
  • 給与計算・例外確認日
  • 銀行ファイル承認と給与日
  • PND.1・SSO・元帳・証憑の完了日
02

雇用の事実からPND.1を計算する

PND.1は給与と一定の人的役務所得に対する源泉税を扱います。全員に同じ固定率を掛けるのではなく、歳入法の方法、見込年間所得、雇用主が保有する従業員情報に基づきます。賞与、不定期支給、退職金、年中入社は個別確認が必要です。

提出前に申告額を課税給与に照合します。公式様式は通常給与、承認済み3%ケース、退職時一時金、Section 40(2)を区分します。事実が不明なら前月区分を流用せず、税務コンプライアンス確認に回します。

03

2026年の社会保険上限と例外を確認する

33条の2026~2028年の月額賃金上限は17,500バーツです。通常5%では従業員・雇用主とも月額上限875バーツです。旧15,000バーツの表計算やシステムは控除と会社負担を過少計上するおそれがあります。

月と地域も確認します。洪水被害を受けた南部9県では2025年12月~2026年5月に一時3%が適用されました。期間は終了していますが、実際に適用した根拠を残す重要性を示します。公式雇用主チャネルで登録、変更、当月告示を確認し、タイの会計要件とも連携します。

04

総支給・手取、銀行、元帳を照合する

計算が合っていても運用が正しいとは限りません。人数、総支給、手取を前月比較し、重要変動を説明し、銀行総額を承認手取額に合わせ、税・SSO債務を申告額へ照合します。

人事・銀行データへのアクセスを制限し、作成と承認を分離し、締切後変更を記録します。成長企業は例外が埋もれる前に統制を文書化し、スタートアップ・中小企業会計で財務全体との接点を確認します。

  • 前月比の人数・総支給・手取変動
  • 新規・変更口座の独立確認
  • PND.1・SSOと給与台帳の照合
  • 銀行実行額と承認手取・元帳の照合
05

年末ファイルを毎月つくる

年末に12か月を再構築しないよう、従業員ID、累計所得、福利厚生、控除、源泉税を毎月更新します。給与の源泉徴収証明は原則翌年2月15日まで、年中退職時は退職後1か月以内の交付が求められます。

証明書発行前に年間累計を全月PND.1と総勘定元帳に照合します。履歴を上書きせず、給与月ごとに訂正を記録します。

06

よくある失敗

計算後の人事変更、チャットだけの賞与承認、退職者の有効状態、旧SSO上限、元帳に残る給与債務など、引継ぎの穴からエラーが生じます。再計算だけでは欠けた承認や矛盾する原データは直りません。

従業員マスター、管理された変更ログ、最終台帳をそれぞれ一つにします。過去差異は当月処理から分け、期間別影響を算定し、訂正前の原申告証憑を保存します。

07

給与レビューが必要な場面

初採用、内製化や委託先変更、外国人雇用、新しい報酬設計、未消込債務、資料不足の年末証明ではレビューが必要です。従業員一覧、契約、直近台帳、申告、納付証憑、元帳残高を用意します。

有効なレビューは明細書の見た目ではなくデータ経路から始まります。現在の給与体制をレビュー依頼し、次の給与日と申告月を伝えると、緊急リスクと長期改善を分けられます。

次回給与

給与ファイルで全ての金額を説明できる状態へ

次の給与日、人数、最近の給与台帳、申告、未消込残高を共有してください。最初に解決すべき統制・コンプライアンス項目を整理します。